山形が俺を呼んでいる act.4【リアル秘密のケンミンSHOW】

Suika with C

2019年11月01日 19:01

2019/10/27(土)13:00


『山形が俺を呼んでいる』の続きです。

act.1【秋の最強キャンプ鍋】
https://seasonbest.naturum.ne.jp/e3272121.html
act.2【気仙沼沖風速25M】
https://seasonbest.naturum.ne.jp/e3270358.html
act.3【誰もいなかった徳良湖ACフリーサイト】
https://seasonbest.naturum.ne.jp/e3280284.html





買い出しから戻るとサイト中央には焚火台と銅製の大鍋が鎮座していた。薪も中細に割られてあり「いつでも始められるぞ!」とアピールされているようだ。「間違っても私のいないところで芋煮作りを始めないでいただきたい。」と事前通告しておいたのでココはキッキリ守ってくれていた。

炊事棟から下準備を終えたChai夫妻が戻ってきた。「うちはヌメリ取りしないんですよ〜」と言われたが何のコトだかわからない。しかし大鍋にクレンザー塗りまくっているのは焚火の煤が着かないようにする工夫だというのは知っていた。




さあいよいよ大鍋に里イモ投入!ファイヤー!!Chai's childrenが見守る中、高火力でイモは煮えていく。



イモに火が通ったら牛肉投入・・・ってオイ、ちょっと待った!普段食べている肉で良かったのに〜。なんともまぁ贅沢な肉だコト。




鍋の味付けはもちろん大正15年創業・山形市の醸造元「マルジュウ醤油」。これに酒と砂糖を加えるのみ。私は遠目に見ていたのだがChai夫妻は何度も何度も何度も何度も「味見」していた。山形キャンパーにとって「芋煮の失敗」は「キャンパー失格」の烙印を押されるに等しい絶対やっちゃダメなコト。まして芋煮のイの字も知らない私にブログでクソミソに書かれた挙げ句、その記事が永遠に後世に語り継がれ山形キャンパーの名に泥を塗るようなコトなんて耐え難き屈辱だろう。

「マルジュウ醤油」さえ使えば美味いナベになるコトくらい私でも知っていたが、真剣な表情で何やらヒソヒソ話しながら汁の味見をしている夫妻の姿のソレは「失敗するのイヤ」では無く「最高の芋煮を食べさせたい」という気持ちが痛いほど伝わってきた。そうか!これが「山形キャンパーの心意気」ってヤツなんだな。ならば私も心していただくとしよう。さあ見せてくれ!「山形ケンミンが楽しむ本物の芋煮」ってヤツを!





ひとくちススって涙が出そうになった。Chai実家の畑で引っこ抜いてきた里イモ、食べやすく細かく切られたごぼう、舞茸やしめじ、さらに普段は決して食べないであろう高級山形牛の出汁が溶けだしたスープ、そしてChai夫妻の気持ちまで伝わるようなこの味は「美味い」と言うよりも「ありがとう!」の気持ちでいっぱい。このイモ煮のためにどれだけ動いて準備してくれたのだろう。どれだけ考えてキャンプに来てくれたのだろう。

心配そうに私の顔を伺う夫妻に私は「美味い!」と陳腐な言葉しか言えなかったが、ああ、これは私が旅に追い求めている光景「遥か空の下」だ。見知らぬ地でその土地の恵みを食し、語らい、空を見上げる。そして心から「来てよかったなあ」と思えた。

この日この場所でイモ煮片手に焚火囲んで酒を交わした時間の思い出は私にとって一生の宝物。Chaiご夫妻、本当にありがとう。





私は買い出しで「焼き鳥」を100本近く買ってきた。今回の「芋煮」に勝てるワケ無いのはわかっていたが、カツオを失った我が家に迎え撃つ「弾」はこれしか無く私はChai's childrenから浴びせられる非情な催促に、言われるがまま焼き鳥を焼き続けた。







芋煮が渡されると同時にChai家から山形・高木酒造が造る最高級の日本酒「十四代」、鶴岡のだだちゃ豆をも凌ぐと言う「秘伝豆」、さらに天童市・半澤鶏卵の超人気半熟燻製卵、山形のお土産ランキングでも常に上位にいる「スモっち」や「サラたけ(サラダたけのこ)ネギ塩味」が次々と渡されてくる。もうダメだ・・・と思っていたところに

奥さま:「山形の米さ言ったら・・・?」

私:「『つや姫』ですよね。さっき道の駅で買いました。」

奥さま:「いやいや、『つや姫』もウンメーだげんどもぉ、これからは『雪若丸』が◎△$♪×¥●&%#?!・・・コレ持ってきたから食べてけんろ。」

と、ホントに「ダメ押し」となるジップロックに入れた『雪若丸』2合を渡された。いやぁコレも嬉しいなぁ・・・。『雪若丸』の説明はよく聞き取れなかったが、認めよう、完敗だ、もう白旗。これは劇団家並みの総攻撃をくらった感じで「焼き鳥」ひとつでどうにかなると思っていた自分を強く恥じる。最後に奥さまが

奥さま:「あと、田中圭がコマーシャルしてるし・・・」


と顔を赤らめた。「(推し理由は)ソレかいっ!?」とその時は思ったが、帰りに道の駅に寄ったらホントに『つや姫』の次に来るコトを本気で感じさせるポスターが貼られていた。今後は私も『雪若丸』買いますね。w








暗くなるのが早くなってきたので14:00頃からスタートした段取りも見事だった。ゆっくり食べながら語らい笑いの絶えない時間だった。



私は和歌山で買ってきた残り僅かの「紀州備長炭」とユニセラで最高の焼き鳥を振る舞おうとしていたが、Chai's childrenの怒濤の催促に「焼き」が追いつかず急遽3Kg600円のホムセン炭に変更。どうやらわからなかったようだ。




陽が暮れ始めた頃、Chaiさんからウィスキーを勧められた。私は躊躇する。なぜならこの楽しい時間を終わらせてしまう「睡魔」が少しづつ強くなっていくのを感じていたからだ。

本来はChai家と朝イチ合流後、設営して買い出し終えてゆっくり昼メシ食べたら1〜2時間寝かせてもらおうと計画していた。徹夜で走ってきた私がゆっくり寝られてお越しになられたChai家に最後まで付き合うには酒は要注意。飲みすぎてすぐに潰れてしまうのもイヤなのでBOWMORE12年をロックでチビチビ舐める。うん、このスモーキーテイストは「劇団家」の顔しか浮かばない。ヤベー眠いぞ俺っ!




ランタンを点けたり焼き鳥焼いたりなんとかごまかしながら18:00(限界点)を迎えた。Chaiさんはハイボールをグビグビ。Chai's childrenはまだ焼き鳥食べると言い出した。

「あいよ〜ちょっと待っててね〜」と覇気の無い返事。




みんなはストーブの前で楽しく団欒。すぐ隣にいるのに笑い声が遠くに聞こえる。限界点からさらに1時間半粘ったがいよいよ目の前が歪みだした。こんなに無念なコトはそうは無いが、ホントに申し訳無く19:30にテントイン。




Chaiご家族のみなさん、ありがとね。「山形で芋煮」は私のささやかな「夢」でした・・・・。3杯も食べられて幸せな夜でした。







act.5へ続きます。





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