プロローグの続きです。
2018/03/17(土)13:00
師匠から【ふもとっぱら】での設営・休息を終えたとの連絡が入り私も【新富士オートキャンプ場】からそちらに向かう。
しかしさっきまでは山頂まで雲1つ無い快晴の空に映える富士山だったのに
「そう簡単には見せませんよ」とばかりに厚い雲に覆われていた。
「うん、これはこれで面白い展開だ。w」
とその時は薄ら笑っていたが後にこれは大変なコトなんだと思い知らされる。
ふもとっぱらの管理棟で「1泊」の受付を済ませて入場。これで夜もOKだ。(テント1張3,500円)
場内は週末の大にぎわいで富士山は見えずとも胸は高まる。
「さてどこかな〜?目立たないようにトルテュでも張ってるのだろうか・・・?」
富士山に向かって中央道路をスルスルと徐行で進んで行くと中央やや左側に・・・
「
今日もどこかで野遊びを…」どーん!汗
なんだこりゃ!?
まさに「劇団家ここにあり」と言わんばかりの「CABANON&TATONKA 1TC」!!
「ちょっ、ちょっと奥さん!アレ見て、アレ!」
「え〜!?アレがあの・・・?」
「ざわざわざわ・・・」
遠くで指をさされているのだろうか無数の視線を感じつつ若干戸惑っていたところに・・・
「
Pole Pole Camp」どーん!汗
「ちょっ〜と、ねぇ、アレも!見て〜!」
「あらあら、ホント、アレが女王ねっ!?」
「ざわざわざわざわ・・・」
なんて会話が聞こえてきそうな聞こえないような。
でもご主人さんと愛犬ノエルも来られたのには安心した。テント内にはストーブもあるようだ。
そんな感じで2018元旦以来の再会を果たした6人のパーティーによる【ふもとっぱら】の夜が始まった。
乾杯!
しかしここで問題発生。
私はイスに座りタバコに火をつけてふと師匠を見れば
いつものキャンプを心底楽しんでいるような彼の顔じゃない。
そりゃそうだ。徹夜で車を走らせてきて朝方は前方にバッチリ見えていた富士山が
今、念願のふもとっぱらに立って1番近くにいるハズなのにまったく見えないのである。
もちろんそれはこの広大な草原にいる多くのキャンパー全員の願いでもあったワケだが
その賑わいが彼には逆に辛く感じたらしく
「これじゃ吹上高原と同じだよ・・・」
極めて恣意的な感情を焚き火にぶつけていた。
私は黙っていればいいものを
「予報では明日の方が雲は多いみたいっすよ。w」
それを聞いた彼は一言。
「終わったな・・・。」
私は待ちに待った休暇初日からそんなセリフが出てしまった彼の心中を察する思いと
どこか心の片隅にはこれを「ブログの記事に昇華させてしまおう」というきわめて醜い気持ちが交差し続けていた。
師匠と私がそんな会話で重い空気が流れる中
女王の目は劇団にひき奥方の手による「伝説のロービー」作りに釘付けで
こんな肉塊を目の前でジュージューやられちゃたまらない。
師匠は見えないハズの富士山の方にイスを向け、私は本来ならこんな時こそ盛り上げなければならない「接待キャンプ」なのにかける言葉も見つからず
薪の爆ぜる音だけがタープ下に響き続けているのかと思いきや
ひな:「キャ〜〜〜っ!!」
私は知っている。
女王は過去に「2度」このローストビーフを食べ損ねているコトを。
ムリも無い。これは「美味い!」とか「柔らか〜い」などという言葉にすることが陳腐なコトに思えてしまうような
Suika Selection 殿堂入り文句無し最高金賞の逸品である。
私はひとり雲に隠れた富士を眺めビール片手にたそがれている師匠よりも
ひな:「うまっ〜!」
ひな:「これタレの作り方教えてくださいっ!
」
席を立ち上がって自ら大盛り上がり中の女王の方にノっかるコトにした。
「いや〜何度いただいても最高だなコレ!!」
「富士山見えなくてもコレ食べられたなら・・・」
ハッ!!
それは言いかけたけどなんとか止めることができた。
しかし女王がロービーを1枚口に運んだ時の「恍惚の表情」は一生忘れないだろう。
私からは我が埼玉の名物「秩父味噌豚」を召し上がっていただこうと
前日に寄居の名店「肉のみねぎし」まで行って豚肉のみそ漬を用意しておいた。
女王から「米を炊け」との指示を受けたがそれはスルー。
しかしここから女王の満を持しての反撃が始まった!
これまで「食い逃げ」だのなんのとさんざん言われ続けてきたが
やはりダテに「グルキャン女王」の称号は授かっていない。
まずは私の苦手なゴルゴンゾーラのピザで攻めてくる。
女王:「ハチミツかけると美味しくなるってば!」
「そういう今ドキの食べ方を俺にやらせるのか!いいか俺はこうみえて「古い人間」だっ!」
激しいやりとりが繰り広げられ結局食べさせられたが
「ほう・・・。w」
そしてこの寒空にバッチリだった「牛スジ煮込み」!
しかしここで私一生の不覚。
この【ふもとっぱら】は18:00以降翌朝まで場内の車での移動は禁止されていて
私はこの宴が終わった後は【新富士オートキャンプ場】に戻る予定なので
めろんとりんごを載せて車を管理棟前の駐車場へ移動しておかねばならなかった。
距離にして5〜600Mくらいだろうか。これだけなら何ら問題無いコトなのだが
車を停めてテントに戻る帰り道、軽く「遭難」状態に陥ってしまった。汗
【ふもとっぱら】の場内は舗装された道はないが車が走りやすい道がいくつかある。
おそらくその道を通って行けば簡単に戻れたのだろうが
ここで面倒がり、テントがある方向にショートカットを試みようと芝生を歩いていたら
どこまで歩いてもCABANONとTATONKAが見つからない。
私は俗にいう「鳥目」というヤツで夜間の視力が悪いのも手伝って
今いる自分の位置すらホントにわからなくなってしまった。汗
私は妻に電話。
「緊急!緊急!タープから出て富士に向かってジェントスを大きく回せ!これは演習ではない。繰り返すこれは演習ではない。」
妻:「ええ〜っ?な〜に?」←グルキャン盛り上っている。
「だから「ネタ」じゃねーんだよ!もう30分歩いているが遭難したの!いいか、富士に向かって・・・」
「ピピッピピッ」(電池切れ音・この後の写真無し)
気がつけばふもとっぱらの最奥森のキワまで来ていた。
「はぁ〜もう1度管理棟まで戻るか・・・」
管理棟の方角は建物の灯りで確認できるがイヤというほどの距離だ。
場内の路面はお世辞にも歩きやすいとは言えなく加えて私はつっかけサンダル。
ふもとっぱら初心者の人は夜間の行動は慎むべきなんだと身をもって経験した。
それぞれ食事を楽しむ団らんの声が聞こえる無数のテントとテントの間を抜けながら
このままふもとっぱらに倒れるのも人生か・・・などバカなコト考えながら歩いていたら
なんと遠くかすかに見える富士に向かって必死にジェントスをまわしている妻の姿!!!
「た、助かった・・・。」
タープ下に戻り女王のご主人から「どうぞこれで温まってください!」と牛スジ煮込みが振る舞われたが
私がふもとっぱらを彷徨っている間に牛スジは煮込みに煮込まれ
「濃いね〜おじさんもう少し薄めがいいかな!」とやんわり苦言を呈したら
「アンタがいつまで経っても帰って来ねぇからだよ!」
という目で女王から返された。これは失敬。
翌朝につづく。