暴風に挑む年越しキャンプ act.2 風と共に去りぬ 後編

Suika with C

2018年01月10日 01:20

act.1 ほんとうの空編
act.2 風と共に去りぬ 前編の続きです。



2018年元旦【フォレストパークあだたら】






2日間かけてじっくりと抽出した濃厚白濁鶏ガラスープ。




鶏肉、会津産しいたけとネギに高知のゆず・水菜を少々。


元旦の朝はシンプルな雑煮に限る。


昨夜の暴風、特に朝方の1〜2時間は凄まじかった。

ガッチリ固めたハズのガイロープはゆるゆるに弛んでいたがトリオドームとテンマク・ヘキサタープは持ちこたえてくれた。


青空の下でのんびり雑煮を食べられているコトに幸せを感じた新年の幕開け。


穏やかな1年になるといいな・・・なんて思いながらタープ下焚き火の用意を始めたら



「こんにちは〜!Suikaさんですか??」


と見知らぬ元気な若い2人が赤いスノーピークのローチェアを抱えながら私のサイトに入ってきた。


これは新年早々「穏やか」ではなくなりそうな気配に私はとっさに


「違います。」


と答えた。汗



2人はテンマク・タープとコールマンテントを何度も見返して


「す、すみませんでした〜!」


と申し訳なさそうに引き返そうとしたが、隣のサイトには師匠のテントがど〜ん!


すぐにバレてしまうコトは明白だったので


「あっ、いや、やっぱりSuikaです・・・。」


すると2人の顔は明るさをとり戻し「でしょ〜〜!?」と馴れ馴れしくタープ下に入ってきて持参のローチェアをひろげだした。





これが噂に聞く「襲撃」ってヤツか。


「ブロガーには盆も正月も無いんだな」と若干戸惑っていたが

よく考えたら私も昨年の元旦に夫婦水入らずでフォレストパークの振る舞い餅を食べている師匠を「襲撃」したんだっけな・・・と苦笑い。


し、しかしあの時はお互い深々と頭を下げ、初対面らしい行動だったが


さすがグルキャン女王、Pole Pole Campのひなこさん夫妻

イスに座るや否や鶏スープの鍋を見て特製雑煮を要求してきた。





ご主人さんから「あ、でも器は持ってきてませ〜ん!」と明るく告げられたが

当たり前だ。これで器まで持って来てたらそれこそキャンプ場に現れる「モノ乞い」じゃないか!しかも「元日」。汗



私はその容姿から「モチは5枚くらいでいいか?」と尋ねたら

おホホホホ・・・と答えたが目は笑っていなかった。






その後はテント内を覗かれ「あ〜こんな感じなのね〜」と感想を述べられたら




次ぎは師匠のテントに狙いを定めて





写真に納めて夫婦でご満悦の表情を浮かべていた。





ひなこさんは時折強く吹く風にびっくりしていたが

これはあだたらにしてはまだ「そよ風」レベル。


ブログやグルでは勝ち目は無いがここはあだたら、最後は「覚悟」がモノを言う。

私はこの風の中、オープンタープでひなこさん夫妻を迎え撃つことができたのを少し誇らしげに思っていた。


ほどなくして師匠がセレブリティコテージ泊を終えテントサイトに戻ってきた。


その後は師匠のマルシャルテントの中でしばらく歓談。


裏磐梯でスノボ、高湯温泉の安達屋旅館で硫黄泉を堪能してきたひなこさんは

実家に行くから時間が無いので挨拶だけですぐ帰ると言っていたのに

結局、雑煮食って写真撮りまくってアルパカの効いたテント内でゆっくりご談笑。

終いには師匠から勧められるがままにのんびりとフォレストパークの温泉まで入浴していく始末。




しっかり「デイキャン」を楽しんでフォレストパークを後にした。笑



あだたらに勝るとも劣らない疾風の如く現れ去っていったひなこさん。

でも2018年の元旦に2組のキャンプ・ブログ仲間と会えて楽しい時間が過ごせたのは

今年がきっと良い年になると思わせてくれた。


ひなこさんご夫妻につきましてはわざわざお越しいただき差し入れまでいただいたコトお礼申し上げます。

いつかどこかのキャンプ場でゆっくりと腹を見せ・・・いや、腹を割って語り合いましょう!






夕暮れになるとマルシャルテントからも灯りがこぼれだした。

ようやくいつもの「今日もどこかで野遊びを・・・」の始まり。


後で少しだけ顔を出そうと思っていたら

師匠の方が私のテントに来てくれたのだが


聞けば奥さまの体調がすぐれないらしく、今夜はゆっくりしますとのコトで

なんと伝説のロービーを1皿まるまる置いていってくれた。



秋キャンプでは2〜3枚だったけど、私のNo.1料理と思えるコレをこんなに・・・What a wonderful 元旦!!!ってヤツだ。まさに狂喜乱舞状態!


まぁ師匠は明日(2日)もいる予定と聞いているし、我が家はすき焼き用の福島牛(A5)を用意しているので遠慮なくいただいた。美味すぎて言葉にならない。



先ほど帰られたひなこさんは秋キャンプ時にあれほど食べたがっていたので

「せめて写真だけでも・・・」とメールしてみたら、それまでいろいろやりとりしていたのにこれ以降ひなこさんのメールは途絶えてしまった。汗






夜、師匠のテントからガハハハハ!と大きな笑い声が何度も聞こえてきた。

「あ、奥さん回復されたんだな。」と安堵したが

翌朝聞けば大晦日に放映されたダウンタウンの「笑ってはいけない〜」配信を見て奥さんが不調で寝ている横、笑い転げていたらしい。聞かなきゃよかった。





その日の夜、あだたら吹き下ろしの風は荒れに荒れまくった。

就寝前にはなんとフォレストパークパトロールスタッフが強風の中

「今夜は予報で風速12Mですが、たぶん15Mは吹くでしょう。タープ飛ばされちゃうかもしれないので速やかに畳んだ方が・・・」と教えに来てくれた。


ここで意地を張る理由など何もない。

私は夜の撤収は初めてだったがスタッフに感謝を述べて急いで妻とタープをしまった。


そして夜中の暴風はものすごい音を伴い百戦錬磨の師匠の心も震わせる。



翌朝、私がテントを出ると目を疑う光景が繰り広げられていた。


「ちょっ、ちょっと!どうしたんですかっ???」


師匠と奥さまは黙々と撤収作業を進めている。





「ハッ!まさか昨夜の暴風にビビったか???」


いや、でもわからなくはなかった。

先日、あれほど愛していたTATONKA 1TCが風に敗れてしまって間もない。

その上まだデビューしたてのマルシャルテントまでが同じ目に遭おうモンなら・・・
おそらく立ち直れはしないだろう。





私はその時、風と共に寂しく去っていく師匠に敬礼することしかできなかったが

1年前の元日に初めてココでお会いして

1年後の元日に同じ場所で見送るコトができたのは

旧年中は何度もお世話になり、キャンプの楽しさ厳しさを教え続けてくれたからだ。


できればこんな姿は見たくなかったが、私も劇団家ファンの一員。


ここは「勇気ある撤退」として心に刻もう。






2018年1月2日。
あだたらの空は青く澄んでいた。



act.3 最後はいつものあだたら編に続きます。




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