昨年の秋。駐車場に車を停めると、隣接する空き地から微かに聞こえる鳴き声。
妻が車を降りて様子を見に行き、草むらをかぎわけると血相を変え慌てて帰ってきた。
「この子怪我してるっ!ケガ!」
妻が抱き抱えているのは白い仔猫。
左肩後方が大きくエグられていた。(キズ写真は掲載できません)
オロオロうろたえる夫婦。空き地を見渡しても親ネコはいない。
とにかく病院だっ!
病院のランクも気になるが、今はそんな状況でもない。
とにかく近所の病院を探して妻のスマホで検索。連絡するとすぐに診察してくれるとのことなので、アクセル全開で病院に向かった。
診察台は体重計も兼ねている。
300gちょっと。目は開いているが、まだ産まれたばかり。
キズを調べなから「カラスかなぁ」と先生が言う。
私達は診察台を前にしてまだオロオロ状態だ。
それを察したのか先生はやさしい口調で「キズは少し筋肉に達していますが大丈夫でしょう。」とすぐに言ってくれた。
私達は少し安堵したが、先生には「のら猫」と伝えていたので
「今後どうしますか?」とすぐに尋ねられた。
家は賃貸物件。「ペット可」などと契約書には書かれていない。
しかしこの弱々しく鳴いて立ち上がることもままならず
痛々しいキズを持つあどけない瞳の仔猫。
誰が草むらに戻せようかっ!!!
「保護します・・・。」
妻からは無言の承諾をいただいた。
先生は「ありがとうございます。」と言ってくれた。
キズは消毒後ガーゼがあてられ、当面の幼猫用食事をいただき
まだ19時頃だったので、急いでホームセンターに向かい折り畳める簡易的なケージを購入した。
半分にトイレシートを敷き、もう半分は車にあったキャンプで使っているコールマンの高級フリースをハサミで小さく切りそれを何枚か重ねて寝床とした。
駐車場に戻りようやく落ち付きを取り戻す。
ケージの中ではコールマンの高級フリース(笑)に横たわり、妻が手にのせた高級幼猫用ごはんをチョロチョロ舐めている。
なんて可愛いんだっ!!!(笑)
診察券に書かれた名前は「めろん」。
10月の肌寒い夜、その日は車で一緒に寝ることにした。